世界と日本に現生する【ミツバチ】の種類と特徴について
ミツバチは、私たちを直接的にも間接的にも支えてくれている貴重な存在。
美味しくて栄養豊富なはちみつなどの様々な自然の恵みを届けてくれるだけでなく、植物の花粉媒介を通じて、地球上の自然環境保護と生命体の保全という重要な役割も担っています。
かの有名なアインシュタインが「もしミツバチが絶滅したら、4年後には人類も滅びているだろう」と警鐘を鳴らしたほど、彼らの影響力は計り知れないものなのです。
本記事では、私たちの暮らしに大きく貢献してくれているミツバチについて、それぞれの種類と特徴について解説していきます。
ぜひ、ご一読いただけますと幸いです。
世界に現生する【ミツバチ】は9種類
まずは世界に現生しているミツバチの種類と特徴についてご説明しましょう。
現在、世界に生息するハチの種類は10万種以上あると言われていますが、その中でミツバチはたったの9種類。
その数だけでも見ても、いかにミツバチが貴重な存在であるかがわかります。
具体的には、次の9種類です。
コミツバチ
東南アジアから南西アジアに生息していて、主にタイ、イラン、オマーン、インド、ミャンマー、中国、カンボジア、ベトナムなどの森林で見られます。
他のミツバチと比較しても一番小さく、体色は全体的に赤茶色から黒色をしていて、胸部に白色の毛があるのが特徴です。
クロコミツバチ
東南アジアの中でも特に熱帯および亜熱帯地域に分布していて、静かな日陰の多い森林を好んで生息しています。
コミツバチと同程度の大きさですが、コミツバチより濃い黒色で胸部にある黒色の毛が特徴です。
オオミツバチ
東南アジアから南アジアに生息していて、主に中国、マレーシア、インドネシア、インド、パキスタン、スリランカなどで見られるミツバチです。
名前の通り、他のミツバチと比べてやや大きく、体色は全体的に明るい黄色をしています。
また、スズメバチに匹敵するほど獰猛な性格です。
ヒマラヤオオミツバチ
ヒマラヤ地域に生息している世界最大のミツバチです。
成虫の大きさは最大3cm程度になることもあり、オオミツバチよりも全体的に褐色を帯びていて腹部が黒や灰色になっています。
高地での生息に適応しており、体温維持のため胸部に長い毛を持っているのが特徴です。
セイヨウミツバチ
ヨーロッパやアフリカに生息していて、近代養蜂において欠かせないミツバチです。
セイヨウミツバチは基亜種をはじめ、イタリアン種、カーニオラン種、コーカシアン種、イベリカ種、アフリカ種の6亜種に分類されています。
それぞれの亜種ごとに特徴が若干異なりますが、トウヨウミツバチ以外の他のミツバチと比較すると若干小さく、全体的に気性がおとなしいです。
特にイタリアン種は穏やかであることで知られていて、養蜂にとても適しています。
トウヨウミツバチ
トウヨウミツバチはアジア全域に生息していて、基亜種、インド亜種、ヒマラヤ亜種、日本亜種の4亜種が存在することで知られています。
このうちの日本亜種とは、古くから日本に野生する二ホンミツバチのことを指します。
それぞれの亜種ごとに特徴が若干異なりますが、一般的に暗く黒色を帯びていてセイヨウミツバチよりも少し小ぶりで、気性も穏やかです。
サバミツバチ
マレー半島やボルネオ (カリマンタン)島 に生息していて、別名ボルネオミツバチやレッド・ビーとも呼ばれています。
気性はとても穏やかであることで知られ、生息している地域によって体色が若干異なります。
サバ州、ボルネオ島、マレーシアなどの地域では淡く明るい赤茶やオレンジ色、マレー半島やスマトラ、インドネシアなどの地域では暗みを帯びた赤銅色であるのが特徴です。
キナバルヤマミツバチ
インドネシアのボルネオ(カリマンタン)島の中で、特にキナバル山付近の高い標高の場所で生息しているミツバチです。
生息地域がごくわずかに限定されていることから、幻のミツバチとも呼ばれることがあります。
前述のサバミツバチとは対照的に攻撃的な性格であり、身体的な特徴としては高地での体温維持のために、胸部の毛が長くなっています。
クロオビミツバチ
インドネシアのスラウェシ島に生息しているミツバチで、トウヨウミツバチやサバミツバチに近い性質を持っていると言われています。
しかし、その生態については現在も十分に解明はされておらず、学術的な研究が進められています。
日本に現生する【ミツバチ】は2種類
続いて、日本にミツバチの種類と特徴についてご説明します。
前述の通り、世界的に見てもミツバチの種類は9種類と非常に少ないですが、日本に現生しているのはミツバチの種類はさらに絞られ、わずか2種類。
日本に生息しているハチ全体の種類は4500種以上と言われているのに対して、とても少ないです。
主に、日本では次の2種類が現生しています。
- ニホンミツバチ
- セイヨウミツバチ(イタリアン種)
2種類とも成虫の大きさは約1cm程度で、気性はとても穏やかです。
トウヨウミツバチの中の1亜種として知られる二ホンミツバチは古くから日本に野生する在来種であり、養蜂飼育にも適しています。
ニホンミツバチの体色はやや暗めで黒色に近い色をしていて、成虫の体長はセイヨウミツバチよりも若干小さいです。
一方、セイヨウミツバチの中でも気性の穏やかなイタリアン種は日本の気候に適していることから、明治時代にアメリカ経由でイタリアなどのヨーロッパから輸入されました。
体色は明るい黄色から橙色で、黒の縞模様を持っています。
ただ、日本に輸入される際に別亜種との交配や環境適応などの影響によって、元来の純粋なイタリアン種とはその性質が多少異なる部分があるようです。
種類と特徴から発見する【ミツバチ】の多様性
今回は、世界と日本に現生するミツバチの種類と特徴についてご紹介しました。
ハチ全体の種類は数多くありますが、その中でもミツバチは特に希少な存在と言えます。
一括りにミツバチと言っても、また種類によって様々な特徴や違いがあることがわかりましたね。
私たちと同じように多様性を持ち、私たちの暮らす地球を守っている、とても小さなミツバチ。
世界でも日本でもミツバチの減少傾向が続く今、その生態系を守るため、今後もより一層「自然との共生」に注力することが、大切になっていくのではないでしょうか。
<参考リンク>
兵庫県立 人と自然の博物館「ハチ・アリの種類と分類」
https://www.hitohaku.jp/insect-museum/guide/sec-1.html
ミツバチの種類 « ミツバチについて « 一般社団法人 日本養蜂協会
http://www.beekeeping.or.jp/honeybee/class
ミツバチ - Wikipedia
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%84%E3%83%90%E3%83%81