【はちみつ】が出来るまで
- 【はちみつ】が出来るまで
- 「養蜂場(採蜜地)」での工程
- 花蜜を採集して巣房に貯蜜する
- 遠心分離器で採蜜する
- 漉し器で原料蜜のみを採集する
- 「業務用生鮮食品」の表示を行い工場へ運搬する
- 「工場」での工程
- 原料蜜をろ過して容器に充填する
- 検品と包装を行う
- 「業務用加工食品」または「一般加工食品」の表示を行う
- 美味しい【はちみつ】が出来るまでには長い「物語」がある
目次-------------------
はちみつは、自然の恵みとミツバチの努力の賜物。
一匹のミツバチが集められるはちみつの量は、生涯でティースプーン約1杯(10g程度)と言われるほどとても貴重なもので、私たち人間はその恩恵にあやかっています。
日常にあるとても身近な食品ですが、いつも食べている市販の「はちみつ」として出来上がるまでには多くの時間や労力が必要で、様々な工程があるのです…!
今回はその工程に焦点を当て、はちみつが出来るまでの「物語」を詳しくご紹介していきますので、ぜひご一読ください。
「養蜂場(採蜜地)」での工程
まずは、養蜂場(採蜜地)での工程をご説明しましょう。
美味しく良質なはちみつを作れるように、ミツバチの状態に常に配慮しながらメンテナンスを行い、はちみつとなる原料蜜を集めます。
通常、養蜂場(採蜜地)での工程は、次のようなものです。
- ・花蜜を採集して巣房に貯蜜する
- ・遠心分離器で採蜜する
- ・漉し器で原料蜜のみを採集する
- ・「業務用生鮮食品」の表示を行い工場へ運搬する
花蜜を採集して巣房に貯蜜する
私たちがいつも食べているはちみつは、ミツバチが一生懸命に集めた花蜜を巣に蓄えて生成することから始まります。
ミツバチは蜜源を探して「巣房」(ミツバチが赤ちゃんを育てたり、蜜を貯蔵したりする部屋)に花蜜を集めて、体内にある酵素で花蜜をブドウ糖と果糖に分解。
その後、羽で風を送って巣内の温度や湿度を一定に保ちながら、徐々に花蜜の水分を蒸発させて濃縮させて、蜜を作っていきます。
これがまさに、「はちみつ」と呼ばれるものです。
この間、ミツバチの状態に常に配慮しながら、花蜜を集めて良質なはちみつを作りやすい環境を整え、丁寧にメンテナンスを行います。
そうしてミツバチが最終的に巣房を蜜でいっぱいに満たし、ミツロウで蓋を作り巣房を密閉すると、いよいよ採蜜のタイミングです。
ミツバチを支える「養蜂家」の仕事については、別途こちらの記事で解説しています!
遠心分離器で採蜜する
蜜のタイミングを迎えると、次はようやく巣房からはちみつを採集する作業です。
蜜で満たされた巣の蓋をナイフなどで切り落とした後、巣を遠心分離器に入れて回すと、その遠心力ではちみつのみが抽出されます。
遠心分離器の形状は、長い筒状で底の部分に注ぎ口が付いていて、上にハンドルが付いている手動のものや、蓋が付いた電動のものが一般的です。
遠心分離器を回すことではちみつのみが外側に飛び、最終的に底に落ちて集まり、注ぎ口から出てくるという仕組みになっています。
漉し器で原料蜜のみを採集する
採蜜を終えた後は、集めたはちみつを漉す作業を行います。
遠心分離器で集めたはちみつの中には、まだ巣の破片などが残っているため、それを取り除かなくてはなりません。
そのため、はちみつを漉し器にかけて、原料となる純粋な蜜(原料蜜)のみを採集することが必要です。
漉し器は一般的にザルのような形状で、前述の遠心分離器で採蜜する際に注ぎ口に置いて作業を行います。
「業務用生鮮食品」の表示を行い工場へ運搬する
集めた原料蜜は一旦、ドラム缶や一斗缶などに入れて管理して、「業務用生鮮食品」の表示を行った上ではちみつを管理製造する工場へと運搬します。
「業務用生鮮食品」の表示は、国の定める「食品表示基準」において義務付けられているものです。
ミツバチは畜産物と扱われていて、この段階でのはちみつは「業務用生鮮食品」(生鮮食品のうち、加工食品の原材料となるもの)にあたるため、その表示が必要です。
「工場」での工程
続いて、工場での工程をご説明しましょう。
ここからは、養蜂場(採蜜地)で時間をかけて集めた原料蜜が、「はちみつ」として販売されるまでの流れになります。
一般的には、次のような作業工程です。
- ・ 原料蜜をろ過して容器に充填する
- ・ 検品と包装を行う
- ・「業務用加工食品」または「一般加工食品」の表示を行う
原料蜜をろ過して容器に充填する
養蜂場(採蜜地)から搬入したはちみつをろ過して容器に充填します。
ろ過の際に一般的に使用されるのは、円錐状になったフィルターネット。
これは網目が非常に小さい作りなので、はちみつの中に含まれている細かいミツロウの破片などを取り除くことが可能です。
丁寧にゆっくり時間をかけて、目の細かい漉し器ではちみつをろ過する作業を行った後、瓶などの容器に詰める作業を行います。
検品と包装を行う
はちみつをろ過して容器に充填した後は、いよいよ検品と包装の作業です。
最終的に入念な品質チェックを行い、自信をもって販売できる安心・安全なはちみつであるかをしっかりと確認。
検品を終えた後は包装を行い、商品として不備不足のない状態に整えます。
「業務用加工食品」または「一般加工食品」の表示を行う
検品と包装を終えたはちみつに、それぞれ必要に応じて「業務用加工食品」や「一般加工食品」の表示を行います。
食品表示基準では、商品として販売するはちみつは「加工食品」にあたるため、これらの表示が必要です。
具体的には、主に以下の内容を記載します。
製品輸入の場合には、この他に「原産国名」(原料蜜をろ過して、容器に充填した国の名前)も記載することになります。
この表示作業を経てようやく、私たちが普段食べている「はちみつ」が完成。
このように、時間と労力を結集しながら様々な工程を経て、ようやく消費者や食品製造業者の皆様のもとへ届きます。
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≪参考リンク≫
- 公正競争規約 | 全国はちみつ公正取引協議会
- 消費者庁「早わかり食品表示ガイド 令和2年11月」
- 加工食品(業務用加工食)|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局
- 加工食品(一般用加工食品の概要)|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局
美味しい【はちみつ】が出来るまでには長い「物語」がある
今回は、はちみつが出来るまでの工程について詳しくご紹介しました。
はちみつは、ミツバチが時間をかけて懸命に集めた自然の恵み。
ミツバチの丁寧なメンテナンスを行い、安心と安全に配慮した様々な製造管理の工程を経て、慣れ親しんだあの美味しい味わいが生まれています。
普段食べている「はちみつ」として出来上がるまでには、実は長い物語がありました。
そんな長い物語に思いを馳せて、はちみつの美味しさを改めて実感していただけたら幸いです。